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2021/12/10

間違いだらけの「サーベイ活用法」

皆さんは突然の腹痛に襲われたらどうしますか?
おそらく、“何か変な物食べたかな?”とか
“冷たい水を飲みすぎたかな?”とか腹痛の原因
を自分なりに考え、その後、どういう薬を飲むか、
病院に行く方が良いのか、ということを決めていく
のではなでしょうか。
 
当たり前のようなプロセスに思われますが、
わたしたちが属しているビジネスの世界では、
どういうわけか、“どうして腹痛になったのか”
という原因探索が十分になされないことが
多いように思います。組織で発生する問題は
色々な要素が絡んで原因が見つけ難く、
スピードも求められることも多いので、表面的な
現象を見て直ぐ策を打ってしまうことも多いかも
しれません。
 
会議でなかなか意見を言えない若手社員に、
その様子を見た上司がスキル不足と思い込み、
アサーショントレーニング(適切に自己表現を行う
ためのコミュニケーションスキル)の本を渡す、
といった例がそれに当たるかもしれません。
 
この場合、もしかしたら原因は他にあるかもしれ
ません。経験不足で意見を言うほどの知見が
備わっていないのかもしれませんし、組織自体が
若手の意見を受入れる雰囲気になっていない
という外的要因の場合もあるでしょう。
 
問題解決のフレームワークに『空・雨・傘』という
ものがあります。
 
空:「西の空がだんだん曇ってきたな」
(ここで空という現状(問題)を確認します)
雨:「もうすぐ雨が降りそうだ」
(現状を踏まえてそこに解釈を加えます)
傘:「傘を持って出かけよう」
(最後に解決策を立案し行動に移します)
 
問題解決は、この順番で漏れなく行うことが
求められます。特に「雨」の部分、問題の“解釈”
に十分に時間を取ることが大切です。
 
先ほどの例で言えば、上司は、部下の「意見を
言えない」という問題に対して、本人ともっと会話
して“解釈”を加えていくべきだったところ、直ぐに
策を打ってしまいました。つまり、「雨」を疎かにし
「空」から「傘」に飛んでしまったということです。
これですと、折角の上司のアプローチも効果が
出ず、成長を遅らせてしまう可能性もあります。
 
こういった例は、人事の世界でも散見されます。
皆さんも経験されたことがあるかもしれませんが、
組織の現状を定量的に把握する手法として、
社員満足度調査やエンゲージメントサーベイと
いったものがあります。このようなサーベイは、
現状把握にはとても有効な手段だと思いますが、
実施自体が目的となってしまい、結果をどのよう
に解釈し、施策に繋げるか、という部分にあまり
労力を注がれないケースも多いように思います。
 
単に、結果を関係者内で共有し、スコアが低い
ところに注目し、コンサルタントが提案してきた
施策を打つ、といった流れを取っている場合や、
酷いときは、結果だけ共有して終わりということも
あるように思います。
 
サーベイ結果は、空・雨・傘で言えば、あくまで
「空」の部分です。それをどう解釈(「雨」)し、
「傘」に繋げていくかが、とても大切になります。
 
解釈を深める進め方として、例えばこんなやり方
があります。(実際に私たちが提案し、実施してい
る方法の一つです)
部署単位でメンバーに集まってもらい、その部署
の結果について議論して、解釈を深めるという
やり方です。サーベイ結果は、組織の表層の
状態を表しているだけですので、データからは
見えない組織課題があるはずです。データを
“入口”に話し合いを進めていくと、顕在化して
いない真の課題が見えてきたり、普段感じて
いなかった“部の強み”や“良さ”なんかも共有
できる機会となるはずです。その上で部をさらに
良くするために何をやるべきかを話し合い、
個人としても貢献できることを言語化していく。
こんなプロセスも有効なのでは思います。
 
スピードが求められる昨今、このような丁寧な
進め方は難しいと感じられるかもしれませんが
この“解釈”の部分に時間をかけることで、精度が
高い納得感のある施策が生まれ、逆に改革、
改善の速度が上がっていくのではと考えます。
 
(2021.12.8 柿沼昌吾)